教学に関する交流集会

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第12回教学に関する交流集会



第12回教学に関する交流集会

 教学研究所は、金光北ウイングやつなみホールで、「教祖様の帳面に触れる」をテーマに、第12回教学に関する交流集会を開催し、22名が参加した。

 同集会は、信奉者との対話・交流を通し、教学研究に対する意見や要望を聴くと共に、教学的課題の明確化と研究内容の充実に資するべく、各地で開催されてきている。

 今回は、近年教団に提供された教祖の直筆帳面や、金光四神が筆写した帳面(複製)の様相に触れ、そこに浮かぶ「教祖」について皆で話し合うことを願いとした。

 開会にあたり、大林浩治所長が、
  「この集会は、皆さんの関心に触れて我々の研究課題を鍛え直すとともに、皆さんにとっても、教学の働きにより信心を点検するチャンスになるものと期待して いる。後で説明する通り、教祖様は神様からお知らせがあった事実や、身の回りで起きた出来事を書き記すことで、絶えず自身の信心を見つめ直していた。それ は、「教祖様も教学をなさっていた」こととして捉えられる。今日は、そうした姿が私たちの信心に問い掛ける意味を共に求めたいと思う」と挨拶した。

 会合では、参加者による自己紹介に続き、大林所長から今回の資料について以下の説明があった。
「今日紹介するのは、平成27年に教団へ提供された資料に含まれていた、教祖様の直筆帳面四冊と金光四神様による筆写帳面一冊である。

  さて、教祖様の直筆帳面の内、金銭関係の帳面二冊には、神主職取得に関わる経費や、実弟繁右衛門への援助などに加え、修験者の格好をした者や子連れの物乞 いの無心に応じた様子が見られる。従来、修験者は布教妨害の文脈で語られて来たが、右の事例からは、いわば生活困窮者への援助としての側面も浮かぶ。その 他、商売人の求めで金、銀、藩札を交換するような事例もある。

 次に、暦注及び略年譜を記した帳面には、自身や妻に関する事に加え、家族の年回り、金神、日柄方角の解説、年代ごとの短い記述等がある。

 また手控え類の綴りには、長男による博打の事、叔父の借金返済をはじめ、雑多な内容が見られる。

  最後に、四神様による筆写帳面だが、前半に「お知らせ事覚帳」(「覚帳」)、後半には教祖様の年譜(原本は不明)が書き写されている。この年譜にあるの は、出生から亡くなる年までの事で、子供時代に演劇で褒められた思い出、実父母の死、大谷から見た幕末情勢、自然災害など様々である。四二歳の大患、家業 差し止め(立教)といった事は事実経過が短く記されている。また神道大阪事務分局の役人が来た時の記述などは、佐藤範雄による伝承を裏付ける内容となって いる。

 この帳面で特徴的なのは、概ね当時の世間や身の回りの事柄、お知らせがあった事実のみが記される事である。これは、私たちが『金光教教典』で親しんできた「金光大神御覚書」(「覚書」)や「覚帳」に、多くのお知らせの内容が記されているのと対照的である。

 こうして帳面を概観すると、教祖様が折に触れてかつての出来事を捉え直していた様子が浮かんだかと思う。そこでここからは、実際に帳面に触れてもらいながら、それぞれに何かを感じ取って頂ければ有難い」

 その後、参加者は帳面を手に取りながら担当職員の解説を受け、気になる点等を質問し、意見を交わした。

 続いて行われた全体懇談での、主な意見・感想は以下の通りである。
これほど多くの帳面を書くのは容易でなかろうが、教祖様は執筆を通して、自身が神様と向き合うに相応しいかどうか問うていたと感じた。また一つの事柄を何度も捉え返すことは、そこに現れていた神様の意向を正確に記述し、後世に伝えようとする営為でもあったと思う。

但 し、教祖様が内省的に振り返っていた面ばかりに注目し過ぎると、近代以降に生きる私たちの発想を、教祖様に当てはめる事となりかねない。その意味で、これ ら帳面には、神様からの働きかけに身を預けつつ、差し向けられた生を生きる教祖様が現れていることにも十分注意したい。

帳面には、幕末に京都や江戸、あるいは玉島で起きた騒動の様子も記されており、それら世間の動きを肌で感じながら祈りを込める教祖様が窺われた。ここからは、あの時代、大谷という地に教祖様が神様から差し向けられた意義を、改めて求めさせられる。

「覚 書」をはじめ、「覚帳」や年譜など教祖様の帳面を筆写していた四神様のことを学び、そのパワーに圧倒された。そして、四神様が筆写を通して教祖様の信心に 触れ、その姿を目の当たりにしたように思えた。この四神様による営みの意味を考える事は、我々にとっても教祖様に向かう上でヒントになるのではないか。 



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