紀要『金光教学』

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紀要『金光教学』第66号刊行



 金光教教学研究所では毎年、研究の成果を紀要『金光教学』に発表してきている。本年度刊行の第66号には、論文2編、研究ノート1編のほか、資料室レポート「教団の文書管理体制構築へ向けた本所の歩みだし」(毛利義幸資料室長)などが掲載されている。
 論文と研究ノートの概要は以下の通り。

白石淳平論文


 維新期の動乱と金神のあらわれ

 ―岡山城下の様相に注目して―
  

 本論文は、幕末維新期の岡山城下における、信仰を介した人々のネットワーク形成に注目している。具体的に扱うのは、金光大神の白川家入門を仲介した人物として知られる橋本右近らに、岡山藩池田家の家臣やその世話方が密接に関わっていた様子である。彼らは度々大谷の広前を訪れ、また宮建築への寄進の準備を進めるなどしていたが、筆者はそこに歴史的動向を重ねて考察することで、この時期特有の「金神のあらわれ」として、生活基盤を失い、救いを求めて漂泊する人々の信仰情念を見てとっている。この試みは、時代変動の中において、個々の意図せざる営みの連鎖が切り開く救済の可能性を示唆し、なおかつ、これまで私たちが、金神信仰の事象をすべからく金光大神の信仰営為の意味体系に還元し、読み解いてきた認識枠組みを問い直すものとなっている。

森定展開論文


 明治期の本教における事業トラブルの顛末とその意味 
 ―杉田政次郎らによる北海道開墾・砂金事業に注目して―
  

 本論文は、明治期に杉田政次郎が手掛けた北海道開拓事業の顛末について、当時の社会的背景を踏まえつつ教団の経験として論じている。具体的には、同地の開拓を通じて貧民救済、国家貢献、教団財政への寄与を目指していた事業が、事務員の組織的不正で操業停止に追い込まれた経緯や、地域社会に与えた影響、そして一連の出来事が教団内の言説で「失敗」と位置づけられ、長く忌避されてきた事実等を追究している。これらを通じて、歴史の陰に埋もれた人々の葛藤をいかに包含、あるいは排除して「教団」が形作られてきたのかに言及しつつ、この現実世界で人間が「生きている」実際に照らしながら、どう「信心」が見出され、語り出されるか、と問うている。

【研究ノート】山田光徳


 〈戦後教団史〉の展開に向けた一試論
 ―個人史、聴取調査の可能性をめぐって―
  

 本研究ノートは、教団中央の教務教政史を主軸に形成されてきた従来の教団史認識に対して、戦後を生きた個々人への聴取調査という取り組み自体が持つ意義を考究しながら、〈戦後教団史〉を多角的に構想する方法論を模索している。具体的には、歴史学での議論を参照しつつ、教務教政史という所謂「大きな歴史」からは漏れ落ちて来た人々の生の語り(「小さな歴史」)が、体系化された歴史の認識基盤をいかに問い得るかを論じている。その上で、筆者が実際に行った女性教師・信徒への聴取調査の様子も描きながら、「大きな歴史」では捉えきれなかった領域(例えば「裏/奥の御用」)の存在に着目し、その営みから改めて立ち上がる〈戦後教団史〉の可能性を論究している。

  • 定価600円(税込み)。10月4日から金光教徒社で販売開始。


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