研究業務

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令和8年度研究題目



 本所では、教規の規定に基づき、毎年各所員は、研究題目を所長に提出し、認定を受けた上で研究を取り進めて、年度末までに報告をまとめ、所長に提出します。提出された研究報告は、所内での検討を経た後、発表の必要性が認められた報告について、紀要『金光教学』誌上で発表されます。

 本年度の各所員の研究題目は以下の通りです。


第1部(教祖研究部門)



白石淳平


 金光大神における経済的所有観念
  ―地租改正前後の神把握に向けて―


 金光大神における土地所有などの経済活動をめぐっては、近年収集の資料から、維新期における制度変革の中、具体的な人々や出来事との向き合いを通して、神との関わりを問い返していた姿が浮かび上がる。
 とりわけ、土地委譲や金銭のやり取りに関わる記録は、地租改正(明治六年)に伴う土地の所有・帰属観念の変化が、金光大神における神把握に与えた影響を考えさせるものとなっている。
 本研究では、金光大神が、同時期における経済的所有観念の変化を、神と人の関わりに向けた如何なる問いとして経験していたのかを考察する。

堀江道広


 金光大神の金銭関係記録と金光萩雄の「金銀出入帳」
  ―「家」「神職」に注目して―


 金光大神の直筆帳面類を比較すると、起筆時期や内容年代に加え、同じ出来事の記述でも相互に異なるが、こうした相違に関わって注目されるのは金光萩雄の「金銀出入帳」である。この「金銀出入帳」には金銭貸借が記録されており、金光大神直筆の「金子覚帳」の内容と重複する箇所も散見する。
 そこで本研究では、金光大神における広前での金銭のやり取りと、「金銀出入帳」に浮かぶ家計の問題との相違に注目する。このことを通じて「金銀出入帳」を他の帳面と比較しながら、改めて「家」「神職」といった周辺状況を検討し、各帳面の成り立ちや相互の関係、延いては「覚書」「覚帳」の位置付けの考察に培う。


第2部(教義研究部門)


    

高橋昌之


 東日本大震災と本教の神観・救済観
  ―教義の価値付けを問い直す―


 昨年から教学研究所では、東日本大震災が本教の信心に与える意味を検討すべく、被災地での現地調査と聴取調査を進めている。
 この調査を通じて人々の間に確かめられる、「痛み」「後ろめたさ」といった感覚の個別性は、自身に起きた出来事を容易に信心の言葉で意味付けられない困難さを伴っているばかりか、それにも増して、周囲から意味付けを期待される暴力性の存在を照射するものとなっている。このことは、人々が遭遇してきた震災の圧倒的事実に対して、意味付け的に志向される、本教教義のあり方を点検するよう迫ってくる。
 そこで本研究では、引き続き現地での調査を進めつつ、本教において「神」「救い」を論じる際に立脚してきた前提を明らかにしながら教義の価値付けを問い直す。


第3部(教団史研究部門)



山田光徳


 個々人の歩みに捉える本教戦後史
  ―聴取調査を手がかりに―


 近年、教学研究所では、戦後間もない頃に幼少期を過ごした信徒や教師らを対象として、戦後教団史に関する聴取調査を実施している。 
 この調査で得られる、生活史を主眼とした彼らの歩みの語りは、通説的な歴史理解や信心に関わる前提的価値意識を揺さぶりながら、本教戦後史の多角的な捉え直しを促すものとなっている。
 本研究は、そうした語りの内容を手がかりに、歴史理解や信心をめぐる価値意識の〝ズレ〟に着目し、そのことが持つ、本教の歴史基盤に投げ掛ける意味を窺う。

須嵜真治


 メディアをめぐる経験の諸相とその意味

  ―昭和五〇年代を中心に―


 昭和五〇年代、教団では電波布教センターの設置などメディアをめぐる組織活動の整備が図られたが、具体的な実践の経験が個々の人間にもたらす意味については、十分な検討が及んでいない。
 この点に関して注目したいのは、社会性を志向する試行錯誤を重ねながらも、本教信心の独自性を守ろうとして却って閉鎖的な対応となるなど、ねじれや軋みが現場に生じていたことである。こうした事態は「伝える」営みの体制化において、伝達可能なものをどう確認し、誰の声を漏れ落としてきたかという、構造的問題を浮き彫りにしている。
 本研究では、これら意図せぬ齟齬やすれ違いを、メディアを介した言説空間における経験の問題として捉え、メディアという回路が他者との関係性を規定しつつ立ち現れさせる「教団」の姿を展望する。


助手の研究



 この他、助手は所員の指導のもと、帝国主義的傾向を強めていく明治期以降の本教布教が孕んでいた問題構造、金光大神事蹟が伝承されてきたことの意味やそれら事蹟が信心に投げ掛ける問題について、研究を行う。
 なお、各所員・助手の成果は、来年2月上旬に研究報告としてまとめられ、提出される。


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