研究業務

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令和7年度研究題目



 本所では、教規の規定に基づき、毎年各所員は、研究題目を所長に提出し、認定を受けた上で研究を取り進めて、年度末までに報告をまとめ、所長に提出します。提出された研究報告は、所内での検討を経た後、発表の必要性が認められた報告について、紀要『金光教学』誌上で発表されます。

 本年度の各所員の研究題目は以下の通りです。


第1部(教祖研究部門)



白石淳平


 維新期の動乱と信心の創発
  ―岡山城下の様相に注目して―


 金光大神在世時の岡山城下の信仰伝播については、近年収集の資料から、維新期の緊迫した状況ならではの特筆すべき事柄が浮かび上がってきた。金神祭祀に関与した藩士や町人の存在である。
 そのような人々を、金光大神のもとへと仲介していた人物に橋本右近がいたが、橋本を含め、彼らの信心希求のありようを窺うとき、金光大神を中心に信仰授受が展開したという、従来の見方とはまた別に、動乱期固有の多発的な信心の萌しが見えてくる可能性がある。
 本研究は、この萌しを、より実証的に指し示すことを目指している。

堀江道広


 神職身分の帰趨
  ―喪失以降の金光大神の「振り返り」へ向けて―


 神との関わりを持った金光大神が、神職資格を得ながらも後に失っていくという、安政四年から明治四年の期間の事柄は、近年収集した金光大神直筆帳面において、中心的な記載内容となっている。
 その上で、資格喪失後の明治四年以降に「金光大神年譜帳」「金光大神御覚書」が起筆されたことを鑑みると、次のような関心が浮かぶ。すなわち、神職身分の変化が、自身の過去をどう振り返らせることになったか?というものである。
 本研究は、この関心の究明を通じて、明治期の金光大神について再検討を試みたい


第2部(教義研究部門)


    

高橋昌之


 災害の現場と信心
  ―東日本大震災を手がかりに


 東日本大震災の被災地に立った諸宗の宗教者には、救いを求める人を前にして、信仰の無力さを痛感したとの体験談が多く見られる。
 それは、宗教者自身が授けようとした諸宗の教えや教義が、あまりにも厳しく問い返される様子を窺わせるものだが、逆に、それまでの教義のあり方を、問題提起的に指し示すものだといえる
 本研究は、被災された方への聴取や、現地調査を通じて研究者自身が蒙る体験を記述するとともに、関係者の手記や祭典の記録等の講読・分析を通じ、同震災との関わりに浮かぶ本教教義のそれまでと行く末を模索する。


第3部(教団史研究部門)



山田光徳


 〝教団の戦後〟を介したそれぞれの歴史、その可能性をめぐって
  ―聴取調査を通じた同時代史研究の試み―


 現在、教学研究所では、昭和末から平成期(十年頃まで)を主たる対象として、戦後からの教団動向の聴取調査を進めている。この調査が興味深いのは、聴取対象者の語りがいくら個別だとしても、その時代を生きた人間としての全体性を喚起させるものとなっていることである。
 こうした弾力的で、なおかつ現場性を湛えた語りを介して感じられるのは、生きられる戦後の歴史が今にもなお立ち上がる、その可能性である。
 本研究は、信徒や青年教師、教務教政の主導的立場にあった教師など、様々な世代や立場の人々を対象として当該期を中心に聴取を行い、〝教団〟を介した戦後の歴史を再問する。

須嵜真治


 メディア編制に見るダイナミズム

  ―昭和五十年代の取り組みを中心に―


 昭和五十年代前後、教団では布教体制強化の議論が活発になり、各種メディア事業が展開する。それは、時代の変化に対応すべく、教団の組織体制とメディア事業の運営・制作現場とが相互に影響し合ったものであり、そこにはある種のダイナミズムが確認できる。
 本研究は、情報伝達手段の側面を持つメディアが、人々におけるコミュニケーションの形成や変容を媒介・促進する特性にも注目しながら、如何なる創造性や関係性が教団レベルで育まれていたかを、メディア編制という面から考察し、教団に対する想像力・創造性を捉えることとする。


助手の研究



 この他、助手は所員の指導のもと、時代社会や地域性と布教との関係性、新旧教祖伝記や『金光大神事蹟集』をはじめ様々な媒体における教祖をめぐる語りについて、研究を行う。
 なお、各所員・助手の成果は、来年2月上旬に研究報告としてまとめられ、提出される。


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