研究業務

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平成30年度研究題目



  本所では、教規の規定に基づき、毎年各所員は、研究題目を所長に提出し、認定を受けた上で研究を取り進めて、年度末までに報告をまとめ、所長に提出しま す。提出された研究報告は、所内での検討を経た後、発表の必要性が認められた報告について、紀要『金光教学』誌上で発表されます。
 本年度の各所員の研究題目は以下の通りです。


第1部(教祖研究部門)



岩崎繁之


 教祖関係資料についての基盤的研究

  ―研究資料「金光宅吉筆写帳面」の公開へ向けて―


 平成27年に教団へ提供された教祖関係資料の中に「金光宅吉筆写帳面」がある。この帳面の前半部には「覚帳」が写されているが、後半部には、「覚書」や「覚帳」のいずれにも該当しない内容が書き写されている。
 この後半部の内容を見ると、金光大神が明治4年12月のお知らせ以降、自身の出生から振り返り、帰幽する明治16年までの出来事を書き留めながら、帳面として体裁を整えていたことが窺える。
 本研究では、教祖に関わる新たな年代記的記録が収められている「金光宅吉筆写帳面」の研究的活用を視野に収め、解読文や読み下し文の作成など公開に向けた作業を行う。

白石淳平


  金光大神直筆帳面類に浮かぶ「金神無礼」の位相 


  新たに提供された教祖直筆帳面には、「覚書」や「覚帳」にはない「金神無礼」に関する事蹟の記述があり、それが金光大神に切迫した問題だった可能性が読み 取られる。このことは、「覚書」での「四十二歳の大患」に注目して「金神無礼」を捉えてきた、従来の視点に再考を促すものである。
 本研究では、教祖直筆帳面類における「金神無礼」の位相を、「覚書」でのそれと対照しつつ論究し、新たな資料状況下での「覚書」の特徴の再把握を試みる。


第2部(教義研究部門)


    

高橋昌之


 語られた「老い」
  ―信心をめぐる言語環境への問い―


 超高齢社会を迎えた今日、「信心は年寄るほど位がつくものぞ」、あるいは「ぽっくり往生を願え」といった教祖の「理解」解釈とも関わるような、本教における信心観や人間観の検討が求められる。
 本研究では、教内紙誌において語られた「老い」(加齢に伴う身体的・精神的変調と措定)の諸相と議論の在り方を分析しつつ、関連する「理解」の捉え直しなどを通じて、直面する現実が信心の言説を生み、また新たにしていく要件を探る。


第3部(教団史研究部門)



児山真生


 戦災教会における「復興」とその諸相


  太平洋戦争時、本土空襲等により多数の教会が被災し、戦後教団はこれら戦災教会の復興を最優先課題に掲げ、諸施策を実施した。しかし「復興」は戦後教団の 立ち上げに関わるスローガンでありながら、具体的取り組みの様相は現在も明らかではない。このことの究明は、近年における教団展望の議論に関わる、「布 教」や「教会」といった概念の基礎的理解に培うことになるだろう。
 本研究では、当時の教務資料に基づく戦災教会数や復興進捗状況の実態把握等を通じ、「復興」をめぐる当事者の経験と、その教団史的意味を明らかにする。

山田光徳


 川上郡吹屋町における近代化と教会


  かつて岡山県の山間部、旧川上郡吹屋町にあった吹屋教会(昭和十七年閉鎖)の存廃に関しては、同地における産業(銅山経営、ベンガラ)の盛衰が影響したと 伝えられている。こうした口伝への注目からは、近代化にともなう地域社会の変容と教会の存廃との関連性究明が、布教史研究の課題として浮かぶ。
 本研究では、同地に注目して地域社会と教会との影響関係を実体的に究明し、教会や教師の信仰営為による展開、継承を基調とした「布教」への認識を立体的に捉え直す。


助手の研究



 この他、助手は、所員の指導のもとに、教祖直筆帳面の資料的性格の究明、明治末の教会長講習会の実際とそこに浮かぶ意味、本教広前の奉斎様式をめぐる議論の諸相について研究を行う。

 なお、各所員・助手の成果は、来年2月上旬に研究報告としてまとめられ、提出される。


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