紀要『金光教学』

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紀要『金光教学』第56号刊行



 金光教教学研究所では毎年、研究の成果を紀要『金光教学』に発表してきている。本年度は3編の論文が掲載されている。概要は以下の通り。


岩崎繁之論文


 「金光宅吉による「お知らせ事覚帳」の筆写について」


 昨年新たに教団に提供された資料の中に、金光宅吉が「覚帳」とその他の金光大神直筆の帳面を筆写して、一緒に綴り込んだ資料がある。この論文は、その帳面を取り上げ、特に、「覚帳」の筆写部分について注目したものである。

 具体的には、当該筆写部分と金光大神直筆の「覚帳」とを、筆記の粗密や用字、さらには、貼り紙や書き込みの反映といった表記形態から比較し、宅吉の筆写の様相に言及するものとなっている。そのことを通じ、「覚帳」の筆写によって金光大神の信仰営為や経験を想起する宅吉の姿勢に迫るとともに、「覚書」をはじめとした他の帳面の性格究明への手がかりを探っている。

  なお本論に併せて、この度収集された他の金光大神直筆資料の概要も紹介している。

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白石淳平論文


「「もらい受け」に窺う神々との交渉―村落祭祀における神楽の様相との関わりで―」


  「覚書」には、金神が文治(金光大神)を「一乃弟子」とすることをめぐっての、金神と天照皇大神との問答が記されており、これは「もらい受け」の事蹟として知られてきた。本論文は、この「もらい受け」を、村落祭祀における神楽の様相と重ねながら、神的世界の語りと文治が生きた村落社会の状況との照応関係において検討している。

 具体的には、当時の神楽演目における、天照大神の再臨に加えて鬼神の金神へのまつりかえを語る話型とそのなりたちに、村落共同体を取り巻く時代社会の状況を窺い、そしてそれを「もらい受け」へと振り向け、現実状況を照らし返す神語りとしての意味を捉えている。それにより、人間社会の枠組の変調を兆す時代状況が、神との関わりから捉え返えされ、支え直されるありようが、「もらい受け」にあらわれていると指摘している。

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山田光徳論文


「神道金光教会における「祭典儀式」の経験とその意味」


  この論文は、本教における「祭典儀式」のはじまりと、そこに関わる歴史的経験を、主に神道金光教会期の資料を用いて論じている。

 具体的には、金光萩雄によるコレラの除病祈祷の事例や、在郷村民の求めに応じるべく祭式次第を模索する布教者の姿に注目し、地域社会との関わりの中で「祭典儀式」が営まれてきた様相を明らかにしている。そしてさらに、各地の布教者が本部教会へ寄せた「祭典儀式」の執行に関する照会や要望のありようから、本部教会が、そうした各地の動向への対応に迫られる中で、「本教にとっての祭典儀式とは何か」との問いかけを催されていく歴史的側面に論及している。

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  • 定価540円(税込み)。10月2日から金光教徒社で販売開始。


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